健康診断はA判定でも…隠れ貧血とフェリチンの話

貧血

こんにちは。漢方の葵堂薬局 西岡です。
今日は「隠れ貧血」と「フェリチン(貯蔵鉄)」についてお話しします。
この記事では、検査で「異常なし」と言われても不調が続く理由と、妊活・体質改善の土台としての鉄の考え方が分かります。

  • ヘモグロビンとフェリチンの違い
  • フェリチン不足で起きやすい不調のしくみ
  • 今日からできる鉄の整え方

「なんとなく体がだるい」
「朝、起きられない」
「階段で息切れする」

こうした不調で病院に行ったのに、血液検査は問題なし。
「貧血もありませんね」と言われて、モヤモヤしたまま帰ってきた方を、私は何人も見てきました。

その背景に、隠れ貧血が隠れていることがあります。

健康診断の結果用紙を手に持ちながら、自宅のソファで浮かない表情をしてため息をついている日本人の若い女性。体の不調(だるさ)を感じている様子が伝わる。

ヘモグロビンは現金、フェリチンは貯金

健康診断でよく見られるのは、主にヘモグロビンです。
ヘモグロビンは酸素を運ぶ働きがあり、たとえるなら「お財布の現金」みたいな存在です。

一方で、体には鉄をためておく仕組みがあります。
それがフェリチン(貯蔵鉄)で、これは「銀行の貯金」に近いイメージです。

隠れ貧血は、
現金(ヘモグロビン)は足りているように見えるのに、貯金(フェリチン)が減っている状態です。

家計で言えば、生活は回っているけれど、実は貯金を取り崩している。
そんな「ギリギリ運転」だと、疲れやすさが出やすくなります。

フェリチンが少ないと起きやすいこと

私の現場感として、フェリチンが低い方は「気力の問題」にされやすい不調を抱えていることが多いです。
でも体の中では、ちゃんと理由があります。

エネルギーが作りにくくなる

私たちの細胞には、ミトコンドリア(エネルギーを作る工場)があります。
ここで体を動かすためのエネルギーが作られます。

そしてこの仕組みに、鉄が関わっています。
鉄が足りないと工場がうまく回らず、エネルギー切れのような状態になりやすいのです。

「寝ても回復しない」「朝がつらい」という方は、ここが関係していることがあります。
妊活中の方なら、受精卵が育つためのエネルギー面でも土台づくりが大切になります。

粘膜が弱りやすくなる

鉄は、体の粘膜(ねんまく)を保つ材料にも関わります。
粘膜は、胃腸や鼻・のど、そして子宮の内側にもあります。

子宮内膜は、赤ちゃんを迎えるための「ふかふかのベッド」。
鉄が足りないと、このベッドづくりがスムーズにいかないことがあります。

また、胃腸が弱い方で「食べても元気が出ない」「消化が落ちやすい」という場合も、
粘膜の土台が整っていないサインとして考えることがあります。

目安として意識したいフェリチン値

検査の基準値は幅が広く、数字だけで安心しやすいところがあります。
けれど体感の不調がある方では、フェリチンが低めというケースが目立ちます。

私の考えでは、体づくりの目安として
フェリチン30ng/mL以上(できれば50ng/mL)を意識したいところです。

もちろん、数値だけで全てが決まるわけではありません。
ただ「不調の手がかり」として、フェリチンはとても役立ちます。

鉄の補い方は「続けやすさ」が勝ち

鉄は体の中で作れないので、基本は食事からになります。
ただ鉄は吸収に工夫がいるため、私は「がんばりすぎない形」をおすすめしています。

日本の家庭のキッチン。コンロの上には黒い鉄鍋が置かれており、その横の木製まな板には、ほうれん草、卵、トマトなど、鉄分とビタミンCが豊富な食材が美しく並べられている。

鉄玉子や鉄鍋を使う

毎日レバーや赤身肉は大変です。
そこで、鉄の玉(鉄玉子)鉄鍋は、手軽さの面で助けになります。

お湯を沸かすとき、味噌汁を作るときに入れる。
このくらいの「ゆるい仕組み」が、長く続きやすいです。

ビタミンCとたんぱく質を味方にする

鉄は単独より、食べ合わせで差が出ます。

  • ビタミンC:鉄の吸収を助けやすい(野菜、果物など)
  • たんぱく質:フェリチンは鉄をためる“入れ物”にも関係(肉、魚、卵、大豆製品など)

「鉄だけを増やす」のではなく、
ためられる体にしていくイメージが大切です。

お茶・コーヒーのタイミングをずらす

お茶に含まれるタンニンは、鉄の吸収をじゃますることがあります。
食事中や食後すぐは、麦茶やほうじ茶にしたり、少し時間を空けたりすると安心です。

今日からの小さなログ/できること

  • フェリチン値を一度知る:次回の採血で、可能ならフェリチンも確認する
  • キッチンで仕組み化する:鉄玉子や鉄鍋を「置いておく」だけでも続きやすい
  • だるさを根性で片づけない:疲れの背景に鉄の不足があることも多い

フェリチンは「体の定期預金」のようなものです。
一気に増やすより、コツコツ積み立てる方が、体は安定していきます。

※本文は一般的な情報であり、治療の判断は主治医にご相談ください。
※体質や状況により感じ方や必要量には個人差があります。